猫目茶寮

その時々の、好きなことを気まぐれに
  [ スポンサーサイト ]
--------(--) --:--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 | TB:× | CM:× |
  [ 「銀色の絆」雫井脩介 ]
2012-03-06(Tue) 22:33:13
銀色の絆

「銀色の絆」 雫井 脩介 (PHP)

ものすごく久しぶりに本の話題です。
フィギュアスケートを題材にした小説を読みました。

離婚をして、娘の小織を連れて名古屋に引っ越した梨津子。フィギュアスケートをやっていた小織は、名古屋のクラブで才能を見出され、ベテラン名コーチに付くことになる。
最初は娘の練習内容にあまり興味のなかった梨津子だが、コーチに感化を受け、だんだんと娘を支えることに生きがいを感じはじめ、娘のために全てを懸けるようになっていく。

…というようストーリーですが、この物語は、大学生になった小織が友人に、自分がかつてフィギュアスケートをやっていたという過去を語る形で始まります。
小織がフィギュアで大成功したわけではないことが、最初から匂わされているのです。
フィギュア少女が栄光をつかむ物語ではなく、娘のために頑張るお母さんの物語なのでした。フィギュア界を舞台に、母と娘の絆が描かれています。

名古屋に来る前は、娘が何のジャンプを跳んでいるのかもよくわからず、練習中は、他のスケートママと一緒に外でお茶を飲んでいた梨津子でしたが、名古屋で名コーチに付いてからは、リンクサイドで練習に立会うようになり、だんだんと変わっていきます。

このコーチの所では、お母さんたちが先生のために毎日交代でお弁当を作ったり、お茶やおやつの用意をしたり、更には母親が先生の話を聞く時は、ベンチに正座して聞かなければならいなど、え?と思うような習慣があるのですが、それも凄い世界だなぁと思いました。

小織は才能はあるかもしれないけれど(四回転ができるし!)、絶対勝ちたい!とかそういう強い気持ちがなさそうな感じの子です。
しかしお母さんのやる気は凄いです。オリンピックを視野に入れています。
離婚して、働いていなくて、養育費も途切れがちになって、資金はギリギリなのに、プログラムを海外の有名振付師に依頼しようと思ったり、まだ成績を上げてないのにシニアに行かせたいと言いだしたり、ちょっと冷静に考えたほうが…と思ってしまいました。
フィギュアは親のサポートがないと続けていけない競技だと思いますが、小織のために全てをかける梨津子の熱意には、ひとかたならぬものを感じます。

小織もだんだんと成績を伸ばしていき、読んでいるほうもちょっと期待してしまうのですが、この話の主題は別のところにあるので、試合展開としては、なんだか不完全燃焼な感じでした。
でもフィギュア好きとしては全体的に面白く読めました。

この本を読んで一番驚いたことは…、
以下、少しネタバレ気味なので、「続きを読む」で…


 More...
スポンサーサイト
| TB:× | CM : 0
帰って来た猫ストーカー

「私は猫ストーカー」「帰って来た猫ストーカー」 浅生ハルミン(洋泉社)

オリンピックの前にレコーダーの容量空けなきゃ…と思いながらも、友達から借りた「私は猫ストーカー」を読んでいました。
著者の浅生さんはイラストレーター。猫が大好きで、町にいる猫を探してあとをつけたり、待ち伏せしたり…の経験を綴っています。
映画にもなっていて、観たかったんだけど、行かないうちに上映期間が終わってしまったのでした。

絵も文章もゆるい感じの本で、ゆるゆると読みました。
写真も多数掲載されているのですが、写真の下に書いてある一言が、シンプルだけど妙に可笑しくて良いです。
お酒を飲みながら読んでいたら、途中で何度もうつらうつらと眠ってしまって(寝るなよ…)、そうしたら猫の出てくる夢を見てしまいました。

私自身は猫ストーカーには到底およびませんけど、街を歩いていて猫と出会ったら嬉しいです。
本には、作者が訪れた猫のいる島とか、猫のいる寺とか、猫のいる街角とか、いろいろ出てきますが、浅草の今戸神社が気になりました。招き猫発祥の地なんだそうですね。
検索してみたら、ホームページもあって、なんだか凄そうでした。縁結びのお守りが猫の模様で気になるデザインでした。
あと、鎌倉に猫で有名なお寺があって、座っていると猫の方から膝に乗って来るとか、たまりませんね。

猫を追い求めて散歩に出かけたくなってしまいました。

| TB:× | CM : 4

「RDG2 レッドデータガール はじめてのお化粧」 荻原規子 (カドカワ銀のさじシリーズ)

何故か背中が痛くて、ここ数日、家にいる時は湿布を貼って寝てばかりでした。
それはさておき、これまた久しぶりに本の話です。

レッドデータガール2作目。
山奥の神社で育った超内気な少女、泉水子(いずみこ)は、中学卒業後、東京の鳳城学園に入学し、新しい生活を始めます。
学園で、山伏の修行中の深行(みゆき)と再会したり、寮で同室になった活発な女の子・真響(まゆら)と親しくなったり…。
でも、どうやら、この学園には特殊な理由から集められた生徒たちがいるようです。

陰陽師や山伏が登場したり、学校内で式神と対決したり、なんとなくライトノベルテイストな感じで、私、今、若々しい話を読んでいるかも、と思ったりもしました。
銀のさじシリーズは、児童書のくくりなので、若い子向けなのは確かなのですが。
前半はそんな余計な事を考えたりもしたけど、終盤の、舞を舞うか舞わないか、のあたりの展開が面白かったです。

一応、パートナーということになっている泉水子と深行ですが、内気すぎて何も言えない女の子と、突き放すような男の子ではどうなることやら。
でもこれから、どうにかなっていくのでしょう。まだまだ前途多難な感じですが。

ストーリー展開もこれからどんどん壮大な話になっていきそうな予感があります。
2作目は、「えっ、こんな半端なところで終わるの?」というところで終わってましたが、まだまだ導入部なのかな。これからが楽しみです。


以下、この本で、いいなぁと思ったところ。内容に触れています。

 More...
| TB:× | CM : 4
  [ 「本日のスープ」大久保ゆう子 ]
2009-06-02(Tue) 21:59:04
本日のスープ
「本日のスープ」 大久保ゆう子 (求龍堂)

6月に入ったら気合いをいれようと思っていたのに、6月に入ったとたんに風邪をひいてしまい、今は、頭の中に鼻水が詰まっているような状態で、混沌としています。

さて「本日のスープ」。
料理本にあらず。スープとは猫の名前です。クロネコだけど、スープ。
猫の写真本です。

帯に「黒ねこスープの目ぢから生活」と書いてあるのですが、本当に凄い目ヂカラ!!!
ビー玉みたいにまん丸の目。丸すぎて、顔からこぼれおちそうなくらい。しかもかなり強い光を宿しています。

本の中には、スープが丸くなってたり、転がってたり、振り返ってたり、家政婦は見たみたいに、物陰から覗いていたり、化け猫みたいに口を開けてたりとか、いろいろな姿が収められています。
そのどれもこれもが、異様に存在感があって、迫力あるオーラを放っているのでした。
いやー、スープ、凄い猫です。
| TB:× | CM : 6
  [ 「精霊の木」上橋菜穂子  ]
2009-01-07(Wed) 21:36:42
精霊の木
「精霊の木」 上橋菜穂子 (偕成社)

守り人シリーズで大人気の上橋菜穂子さんのデビュー作。
最初に刊行されたのは1989年で、その後、2004年に新版を発行したそうですが、もともとの本は、もう20年も前の作品になるんですね。
上橋さんというと、アジアン・ファンタジーなイメージですが、これはSFなのです。

環境破壊で地球が破滅し、人類がさまざまな星に移住して暮らしている未来。
少年・シンの住むナイラ星は、人類が移り住んでから二百年を迎えようとしている。
ナイラ星には、もともとはロシュナールという原住民が住んでいたが、現在は滅びてしまっている。
ある日、シンの従妹のリシアがロシュナールの「時の夢見師」の力に目覚めてしまう。どうやら、シンやリシアの家系は、ロシュナールの民の血を引いているらしい。
そのことによって、リシアは環境調整局に追われることになる。


まったく普通の少年であるシンが、従妹のリシアを助けるために、懸命に頑張ります。次々と困難がやってきても、前向きなのがすごい。リシアもサバサバと明るい感じでいいですね。

もともとナイラ星に住んでいたのは、大地を母と思い、精霊と共に生きていたロシュナールの民。そこに地球から人類がやってきて、徐々にロシュナールを滅亡へと追いやったのでした。
新大陸発見と北米先住民のことが引き合いに出されていますが、勝者からからみた歴史と、そうでない方からの視点では、やはり全然違いますよね。

ロシュナールの民がとても大事にしている「精霊の木」
水の中で月の光のように淡く白銀に輝く木々が美しいです。精霊と共に生きるその暮らし方も。
それがもう滅びてしまっているのというのが(滅びへ追いやってしまったというのが)切ないです。

物語は、逃亡、また逃亡、そしてロシュナールの言い伝えの実現…と、短い時間でぐんぐん進んでいって、面白かったです。未来の話なのに懐かしい雰囲気もありました。
あと、追い込まれていてもキッチリ食事をとって、それが美味しそうなところが、さすが上橋さん…と思いました。

私の勝手なイメージですが、読んでいる間、風景や登場人物は、萩尾望都さんの絵を思い浮かべて読んでいました。なんとなくそんな感じだったのです。


今回の勘違い:
カバー記載のあらすじに「少年ヤマノシンの住むナイラ星…」と書いてあり、少年の名は「ヤマノシン」なのかー、ずいぶん時代掛かった名前だなー、と思っておりました。
そう、時代劇の格之進(格さん)みたいな名前だと思っていたんです。山之進とか。
そうしたらさー、ヤマノ・シンだったのよ。名字と名前の間で区切ってくださいよ~。
シンならSFっぽいですが、「ヤマノシン」が主人公の話ってどんなんだろう…って、それもちょっと想像してしまいます。民話風SF?(って何)
| TB:× | CM : 4
  [ 「光草(ストラリスコ)」ロベルト・ピウミーニ ]
2009-01-05(Mon) 11:00:48
光草(ストラリスコ) (Y.A.Books)

「光草(ストラリスコ)」 ロベルト・ピウミーニ 作  長野徹 訳 (小峰書店)

新年の読書は、イタリアの児童文学から。
舞台はトルコ。
画家のサクマットは、太守に頼まれ、難病で光を浴びることができない太守の息子のために、部屋の壁一面に絵を描くことになります。

壁に何を描いていくか、画家と少年は、話し合い、想像をめぐらせ、絵の中の物語はどんどんふくらんでいきます。
繋がった三つの部屋の白い壁面に、山並みが描かれ、海が描かれ、その風景の中に人々がいて、それぞれに時間が流れ、絵の中の人々の人生も進んでいくのです。

三つの目の部屋には、想像上の植物、光草(ストラリスコ)の草原が描かれます。
光草は、晴れ渡った夜に、蛍のように穂を輝かせる不思議な植物。
光を放ちながら風に揺れる草原の光景が幻想的です。
この草原も最初から生い茂った状態だったわけではなく、画家は、春の草木の丈がまだ短いような状態から描き始めて、徐々に花が開き、蝶や動物が現われ、生命の溢れる夏の草原になっていくように描いていきます。

壁面の中で移り変わっていく時間。山や海原の絵の中に描かれた人々も年をとり、草原にも秋が訪れ、冬がやってくる…。
哀しくもあるけれど、とても美しい物語でした。
| TB:× | CM : 4
  [ 「一瞬の風になれ」佐藤多佳子 ]
2008-11-25(Tue) 22:25:23
一瞬の風になれ 第一部  --イチニツイテ-- 一瞬の風になれ 第二部 一瞬の風になれ 第三部 -ドン-
「一瞬の風になれ」全3巻 佐藤多佳子 (講談社)

以前から評判がすごく良くて気になっていた「一瞬の風になれ」、「第一部・イチニツイテ」「第二部・ヨウイ」「第三部・ドン」の三冊を読みました。
高校の陸上部の青春小説。三冊で高校三年間を描きます。

中学までずっとサッカーをやっていた新二は、高校では幼馴染の連と一緒に陸上部に入ります。新二には天才的なサッカー選手の兄がいて、兄をみていて自分の能力に限界を感じていたのでした。
友人の連もまた天才的な才能の持ち主。その夢のように凄い走りをみて、新二も速く走りたいと思うようになります。

新二が走るのは、100m、200m、そして四人でバトンをつないで走る400mリレー。このリレー「4継」が話のメインになります。
短時間で決着のつくスピードのある競技、バトンの受け渡しがちょっとでも上手くいかないと駄目になってしまう世界です。
1年生の時と、2年の時と、3年の時と、それぞれ当然メンバーは違って、先輩や後輩がいて、いろんな想いが交差しています。
同じメンバーで走ったとしても、走るたびに一本一本違うレース、違う思い入れがあるのでした。

100mを走る10秒、11秒なんて、本当にあっという間のこと。リレーでも40秒。ちょっと欠伸なんかしてたら過ぎ去ってしまうような時間の間に、繰り広げられるドラマ。その10秒の間にいろんなものが見えてきます。

春野台高校の陸上部は、仲間意識があって、いいチーム。ちょっと困った人もいたりするけれど、みんなどんどん成長していきます。
先生もいいんですよね。熱血でも厳しくもなく自然な感じで、でも部員のことをちゃんと考えていてくれて。
仲間たちと一緒に、可能性に向かって一生懸命頑張っていく新二の姿が爽やかでした。



実は最初はなかなか本を読み進められず…。1巻目を読み終わった時はけっこうあっさりとした気持ちでした。
新二の一人称が、イマドキの男の子の完全口語体で、なかなかのっていけなかったというのもあるかも。あと、私がスポーツと縁遠い人だからかもね。
2巻の後半あたりからは、風を切るようにスパートかけて読みましたが。(実は図書館の貸し出し期限に追われていたりもして)
結局、私は読んでいて風になりきれなかったのかもしれませんが、爽やかな青春小説でした。
| TB:× | CM : 2
  [ 「レインツリーの国」有川浩 ]
2008-11-13(Thu) 23:37:41
レインツリーの国
「レインツリーの国」 有川浩 (新潮社)

十年以上ぶりに図書館で本を借りてきました。
地元の図書館の規模があまりにも小さいので(実は図書館ではなく「図書室」で、公共施設の一室でしかない)、今まで期待していなかったのですが、今度からもっと利用してみよう。

借りてきたのは「レインツリーの国」です。

十年前に読んだ思い出の本の感想を検索したことがきっかけで、ネットで出会った「伸」と「ひとみ」の恋愛小説。
本の感想をメールでやりとりするうちに、どんどん親しくなっていき、伸はひとみに会ってみたいと思うけれど、ひとみの方はあまり乗り気ではありません。
実はひとみは聴覚に障害があり、そのことを隠していたいと思っていたのでした。

二人が直接会ってからは、行き違いや、ぶつかり合いなどありますが、メールでの正直な言葉のやりとりも続き、途切れそうな糸はなんとか繋がっていきます。
読後、爽やかな恋愛小説でした。
読みやすくて、けっこうな勢いで読んでしまいました。伸の大阪弁もテンポいいです。

物語の冒頭で、思い出の本「フェアリーゲーム」の悲劇的なラストについて、伸とひとみのそれぞれの感想が述べられているのですが、この意見が後々、お互いの自分自身の想いを映すことになるのではないかな、と思いながら読んでいました。
やはりそうなったのですが、伸とひとみは、突発的な別れで終わってしまった「フェアリーゲーム」のカップルとは違った方向に歩いて行けそうなのでよかったです。

「レインツリーの国」っていうのは、ひとみのやっているサイトの名前。
レインツリーってなんだろう?と思ってました。その謎も明らかになってスッキリです。
サイト名の由来がわかったとき、やさしい希望を感じるような気がしました。



余談:レインツリーという言葉から、、昔聴いていたPSY・Sの曲の中の ♪レインツリーの木の国~♪ってフレーズがよみがえってしまって、頭のなかをぐるぐるまわって離れません。
なんて曲でしたっけ。「Wondering up and down ~水のマージナル」ですね。久しぶりにPSY・S聴いてます。

   目をとじて そこにある
   レインツリーの 木の国
   いつまでも 忘れずにいよう

| TB:× | CM : 4
  [ 「わたしたちの帽子」高楼方子 ]
2008-11-02(Sun) 20:32:37
わたしたちの帽子
「わたしたちの帽子」 高楼方子 (フレーベル館)

もうすぐ5年生になるサキは、家の改築をする春休みの間、古いビルで暮らすことになった。
古びた大きなタンスの中に、葉っぱや花の模様の生地を縫い合わせて作った帽子を見つけたサキ。それを被って部屋を出たサキは、ビルの中で同じような帽子をかぶった不思議な女の子、育ちゃんと出会う。


不思議な雰囲気の古いビルに、不思議な女の子。サキは育ちゃんと仲良くなり、同じ帽子をかぶった二人は、ビルの中を探検して遊びます。
らせん階段や旧式のエレベーター、スイッチを押すと開く扉、なんとも魅惑的なビルです。
サキは育ちゃんと友達になって楽しい時間をすごすのだけれど、育ちゃんは現実離れしたような雰囲気もあり、会っていないときは夢のような気さえするのでした。

どんどん話が進んで行って、いい具合に予想が裏切られる展開で面白かったです。
不思議に満ちた話のようでいて、それは現実だった。でもやはりそこには魔法のような力が働いていたのでした。

この本の表紙の絵もとても効果的です。
昔のことを想像して描いた絵が、未来の出来事を予見してもいる。過去の物語は未来へと続いている。
二人の女の子の友情、ぐるぐるまわって繋がっていく思い出のループを嬉しく感じました。
私が今まで読んだ高楼さんの本の中では、これが一番ハッピーな気分の終わり方でした。

***

先日の講演会で、高楼さんは、この本を書こうと思ったきっかけは、出久根育さんの個展を観に銀座のビルに行ったら、そのビルがとても不思議なものを呼び起させるような古いビルだったことが始まりだったとおっしゃっていました。

その銀座のビルは、「奥野ビル」というそうです。興味のある方は、ネットで検索すると出てきます。
心惹かれつつも、ちょっと怖いような雰囲気もある昭和7年建築の古~いビルです。
本の挿絵は事の始まりになった出久根育さんが描いていますが(登場する女の子も育ちゃんなんだなぁ)、ビルの写真を見ると、挿絵のビルとかなり近い感じで、なるほどなるほどーと思います。
| TB:× | CM : 4
  [ 「ココの詩」高楼方子 ]
2008-10-24(Fri) 23:06:34
koko
「ココの詩」 高楼方子 (リブリオ出版)

タイトルの「詩」は「うた」と読みます。
舞台はフィレンツェ。子供部屋にいた人形のココは、ある日動きだし、家を出て外の世界へと歩きだします。
人形たちは自由に動けないけれど、「もしも思いっきりの力というのを全部ふりしぼりさえすれば、ちょっとした動作をすることもできたし、何歩か歩くことだってできたのです。」
思いっきりの力で動きだしたココは、水色の洋服を着、それからどんどんなめらかに動けるようになっていきます。人間の女の子のように。
外に出たココは、悪いネズミに騙されて、ネコの召し使いになることに。そのネコたちはベッキオ宮を根城にして、ウフィツィ美術館の絵を贋作とすり替えていたのでした。

この本にはあまりのめり込むことができませんでした。
何故だろう。ココに感情移入することができなかったからかも。
ヤクザなネズミに騙されて、借金と引き換えにネコに引き渡され、それなのにネズミのヤスのことを信じ切っていて、迎えに来てくれるのを待ってたり。
あとから真実を知って、それを承知でヤスに心ひかれて、また騙されたり。
ココ、そんな男はやめたほうがいいわ!
まぁ、でもヤスに惹かれる気持ちも少しはわかるけど。確かにカッコいいところもあるかもしれないけど。
動き出した人形に、擬人化されたネコにネズミ、非常に子供向きでかわいらしい印象なのですが、ココの心の動きは恋する女の人のようですね。

ネコたちは、贋作を作って悪いことをしているんだけど、「悪人」というイメージではありません。
憎めないようなキャラクターだし、真剣に贋作を作る姿は、職人のよう。まがいものなのに、本物の輝きをもつような絵を描いて、絵が完成した後、充実感に浸っているところは、いいなぁ、このひとたち、と思います。
ヤスも「ヤクザなネズミ」とか言われてるけど、別に悪事を尽くしているわけではないんですよね。

四部構成で、第二部までは贋作を作るネコたちと、それを阻止しようとするネズミたち…という展開なのですが、第三部から突然時空を超えた展開になってびっくりします。
そして、最終章の第四部がとても儚い終わり方なのでした。

もう、儚すぎて、祇園精舎の鐘の声が聞こえるかと思うくらい。(フィレンツェなので聞こえないと思いますが…)
もう、気持ちとしては、海の泡のような儚さでした。すべては跡形もなく。
| TB:× | CM : 4

copyright © 2017 猫目茶寮. All Rights Reserved.
  
Item + Template by odaikomachi

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。