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猫目茶寮

その時々の、好きなことを気まぐれに
  [ 「天と地の守り人」上橋菜穂子 ]
2007-11-07(Wed) 23:24:47
天と地の守り人〈第1部〉 (偕成社ワンダーランド)天と地の守り人 第2部 (2) (偕成社ワンダーランド 33)天と地の守り人 第3部 (3) (偕成社ワンダーランド 34)
「天と地の守り人」第一部・第二部・第三部 上橋菜穂子 (偕成社)

行方不明のチャグムを探すバルサ。タルシュ帝国が迫るなか、異界<ナユグ>にも変化がおこっていた。バルサは大切なものを守りきれるのか。(巻末のあらすじより)

シリーズ全10冊を読み終わりました!
物語を読む喜びを、ずっと感じながら読むことができました。早く続きを読みたいのに、読み終わるのが惜しいような気持ちもあり。
児童書や、ファンタジーという枠に収まらない大きな話でした。
長い物語を読むのが好きな人で、まだこのシリーズを読んでいない人がいたら、読んでみるといいよ。面白いよ。損はさせませんよ。

最終作の「天と地の守り人」は三部作。ロタ編、カンバル編、新ヨゴ編、と北の大陸の国を移動しながらストーリーは進みます。
これまで別々に進んでいたバルサの物語とチャグムの物語が、ここで合流します。
タルシュ帝国の侵攻と、異世界の季節の変化による自然界への影響と、世界には二重の変化の波が押し寄せてきます。
タルシュ帝国と戦う新ヨゴ皇国の姿は、第二次大戦中の日本を思い出させ、苦い気持ちになりました。もうこういう無茶な戦いをしてはいけませんね。

「……雑草なんて、この世には、ないのにな。―抜いちまったか。」というタンダの言葉があって、薬草師のタンダらしい言葉だけど、これは、草兵として徴兵されて戦にかり出され、捨て駒のように使われて見捨てられた村人たちのことも指しているんじゃないかな。
みんな一人ひとり、それぞれの人生を生きている人々。国は支配者だけのものではなくて、そこに暮らす人々がいてこその国だということを、改めて思いました。
ヒュウゴが終わりのほうでタルシュの王子に語る言葉も、心にしみこむ感じでした。

バルサもチャグムも、優れたものを持っているけれど、決して完全無欠の英雄ではなく、もがき、迷いながら生き、成長していっているところも魅力だと思います。(読んでいて時々痛いのだけれど)

さて、全10冊の壮大な物語を読み終わって感慨無量なのですが、これから先の予定は…。
上橋菜穂子特集の「ユリイカ」を読む。
アニメ「精霊の守り人」を観る。
TB : 0CM : 4
「ササノハ オトノハ」DVDHOME「蒼路の旅人」上橋菜穂子

COMMENT

  +
読み終えられたのですね!(^▽^)ばんざーいばんざーい!
しろにゃさまがぐんぐん読み進めるのを見ていて、私も高揚しておりますー。多分、私の読んだ思い出を追体験しているからだと思うのですが・・・(笑)
長の「守り人」への旅、お疲れ様でございました。最後、読み終わりたいのに読み終わりたくなくて、でも読むスピードが加速していくというジレンマ。面白い本の共通ポイントですよね。

>損はさせませんよ。
ツボな言葉。うふふ、と笑ってしまいました(^^)同感です!

>もうこういう無茶な戦いをしてはいけませんね。
本当に。誰かを神聖に思うことは、違う誰かを貶めるのかと思うと、ちょっと立ち止まって考えなくては・・・。いま、アメリカが少し、こんな感じのように思います。
引用なさっていたタンダの言葉は、優しさと優しさから後押しされた強さがにじみ出た言葉のように思います。タンダ自身は、自分を情けなく思っているかもしれないけど、そんなことはないです。むしろ、清々しく柔軟な強さの形のように思います。
守り人を読んでいたとき、私は、強さとは何か、自分の芯にある大事なものはなにかを問われていたように思います。

>ヒュウゴが終わりのほうでタルシュの王子に語る言葉も、心にしみこむ感じでした。
あ、私もです。ヒュウゴ、奥が深い人ですね。目元がじんわりしました。しみこむって本当にそうですね。

痛いのは確かに。偶に、読み進められないときもありました、私。でも、眼が離せないんですよね、一緒になって考えてしまうからかもしれません。登場人物がみんな魅力的で。
バルサの成熟、自分の中の闇から、また一歩踏み出せたことが、ファンとしては、とても嬉しかったです(^^)

最後の、チャグムの精霊の卵のエピソードは、美しかったですねー読んでいて、手が震えてしまいました。溜められていた春がやってきた文の、脳内想像絵が今頭の中に甦りましたー。はー、じーんとしております。

やっぱり一気読みはいいですね(してないけど!)私もしろにゃさまに綾かってしまいました。ありがとうございました(^^)
長くなりました。まとまってないけれど、面白いよね守り人シリーズ!ということで無理やりまとめてみます。ではでは。
ユリイカの短篇もいいですよ!
アニメの感想楽しみにしております(^^)
b y Kashiwa | 2007.11.08(20:41) | URL | [EDIT] |
  +
おぉー 一気に読み上げましたね!!
10冊読破おめでとうございます☆

読む喜びを感じながら読めるのっていいことですよね
何においてもその気持ち大切にしたいですね☆
b y つっつ | 2007.11.09(19:44) | URL | [EDIT] |
  + ■kashiwaさん
>ばんざーいばんざーい!
そこまで盛り上がっていただけるなんてっ\(^o^)/
全巻読むのは長い旅でしたが、あっというまに駆け抜けたような気もしています。
久しぶりに読書に熱中しました。仕事を休んで本を読みたかったほどです。休みませんでしたが^^;
ほんと、損はさせない、損するどころか得るものばかりでした。

タンダはとても辛い目にあって、死の淵をさまよっていたけれど、闇の中から光の方へ意識を向けることができてよかったです。
「雑草なんて~」の言葉の場面は、木漏れ日がとてもまぶしく温かく感じられました。

>強さとは何か、自分の芯にある大事なものはなにかを問われていたように思います。
同感です。登場人物たちは、自分の芯にあるものを守って、貫きながら生きていると思いました。
迷いながら進んでいくのは痛々しくもあるけれど、励まされているような気持ちにもなりました。
私ももっとしっかりしよう。
天に荷をあずけてしまわないで、自分の荷を背負って、自分の判断に責任を持って生きていく、というところも心に残っています。

ヒュウゴの言葉を読んでいて、こんなことを話すヒュウゴはどんな人生を歩いてきたんだろうかと気になります。ヒュウゴで一冊本になってもいいくらいのドラマを感じますよね。

>チャグムの精霊の卵のエピソードは、美しかったですねー
そうですねー^^ これに限らず、ナユグの描写が幻想的で美しいですよね。
最終巻になって、精霊の卵が出てくるのも、おおーという感じでした。

>面白いよね守り人シリーズ!
ほんとほんと!(^^)!
アニメは観はじめています。原作を全部読んだあとにアニメを観ると、チャグムが幼くて、わーちっちゃいなーと、感慨深いです(笑)
ユリイカも読みまーす!

情熱がほとばしるコメントをありがとうございます!
b y しろにゃ | 2007.11.09(23:17) | URL | [EDIT] |
読み終わりましたー!
今年度に入ってから、読書のペースがガタガタだったので、久しぶりに集中して読んだ感じでした。読書の秋ですな。

気持ちを高揚させるものに出会えるとうれしいですね。
いろんなものに出会えるようにアンテナを広げていたいですね^^
b y しろにゃ | 2007.11.09(23:22) | URL | [EDIT] |

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